iSCSI(Internet Small Computer System Interface)は、コンピュータネットワーク上でのブロックベースのデータ転送を可能にするストレージプロトコルです。iSCSIは、TCP/IPネットワークを介してストレージデバイスとサーバーを接続し、データのやり取りを行います。
iSCSIの基本的な仕組み:
- 概要:
- iSCSIは、通常のTCP/IPネットワーク上で、サーバーとストレージデバイス(通常はSAN – Storage Area Network)を結びつけるためのプロトコルです。
- iSCSIは、スモールコンピューターシステムインターフェース(SCSI)コマンドセットを使用して、データ転送を行います。
- 構成要素:
- iSCSI Initiator(イニシエータ): データを要求するクライアント側のコンポーネント。通常、サーバーがこの役割を果たります。
- iSCSI Target(ターゲット): データを提供するストレージデバイス側のコンポーネント。通常、SAN上のストレージがこれに該当します。
- データ転送の流れ:
- イニシエータがiSCSI Initiatorとしてストレージデバイスに接続を確立します。
- イニシエータは、iSCSIコマンドを使用してストレージデバイスに対してデータの読み書きなどの操作を行います。
- ターゲットは、これらのコマンドを受け取り、対応するデータを提供します。
- データはTCP/IPネットワークを介して転送され、イニシエータとターゲット間で通信が行われます。
iSCSIの特徴:
- ネットワーク上の利用:
- iSCSIは、既存のTCP/IPネットワークを利用して動作するため、専用のファイバーチャネルなどが不要です。これにより、比較的手軽に実装できます。
- ブロックベースの転送:
- iSCSIはデータをブロックとして扱うため、ブロックレベルでの高い効率のデータ転送が可能です。これにより、データの整合性やパフォーマンスが向上します。
- 長距離通信:
- TCP/IPベースであるため、広域ネットワーク(WAN)上での長距離通信もサポートしています。これにより、地理的に離れた場所にあるデバイスとのデータ転送が可能です。
- 柔軟性:
- iSCSIは通常のイーサネットを使用するため、既存のネットワークインフラストラクチャを再利用することができます。また、既存のストレージシステムに追加のストレージ容量を追加するなど、柔軟な拡張が可能です。
- セキュリティ:
- iSCSIでは、データのセキュリティを確保するためにCHAP(Challenge Handshake Authentication Protocol)やIPsecなどのセキュリティプロトコルが利用されます。
iSCSIの利点:
- コスト効果:
- 専用のファイバーチャネルや光ファイバーなどが不要で、既存のイーサネットを使用するため、コストが低減します。
- 遠隔地との接続:
- イーサネット上で動作するため、地理的に離れた場所とも接続が可能で、災害復旧やバックアップの際に便利です。
- 柔軟な拡張:
- 既存のネットワークやストレージシステムに統合しやすく、柔軟な拡張が可能です。
iSCSIは、企業やデータセンターなどで広く利用され、効率的なデータストレージソリューションを提供します。